燦燦舎のブログ

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「もう倉庫にしちゃおうかと思ってた」米永書店(指宿) 鹿児島の本屋を歩く その①

書店の減少が止まらない。

もちろんこの鹿児島もご多分に漏れない。今年の1月にMARUZEN天文館店が閉店したのは衝撃だった。その後もミスミ七ツ島店、くまざわ書店鹿児島中央店と閉店が続く。

「何かしないと。なんとかせんと」

気ばかり焦っていた。

まずは鹿児島の書店をどんな方が経営されているのか。どこにどんな書店があるのか。

「本」だけでなく、「鹿児島の本屋」を紹介していきたい。

そう思って、訪ねていくことにした。

米永書店 米永貞嗣社長

 

鹿児島の本にまつわるニュースで、ほぼ記憶にないくらい明るい話題が、指宿の米永書店だ。

長年指宿高校の隣で営業されていたが、区画整理を機にこの8月に移転。

リニューアルオープンして新聞、テレビとメディアで取り上げられ続けている。

「まずはここしかない!」と米永書店の米永貞嗣(さだつぐ)社長に電話。

大変忙しいところインタビューに応じていただいた。

まず外観に驚いた。大きく変わろうとしている。米永さんの決意を感じる。

米永書店は約90年前に米永社長の祖父が開業した。はじめは書店ではなかったそうだ。

「祖父は馬の調教やら農業やら、いろんな仕事をしていた」と米永貞嗣社長。

米永社長の父が書店を引き継ぎ、貞嗣さんが米永書店に入ったのは平成元年(1989)年、まだ24歳だった。

当時は地図や歴史の豪華本がブームだったという。貞嗣さんも売って回っていた。

今の米永さんもものすごいフットワークの軽い方で、以前の店舗の時から外をずっと回っていて、店で会えることはほぼなかった。

若かりし頃の社長は相当高額本を売りまくっていたのでは、と想像する。

しかし、「本じゃ食えないのは早くからわかっていた」という。

郊外型の書店が増え、地元の書店が軒並み閉店していった。

 

貞嗣さんは地元の学校や官公庁に文具や事務用品を卸す方向に早くからシフトし、それが書店の経営を支えていたという。

そう。地元の総合商社の機能を持つ書店もある。

それは地域の書店にとって、一つのあるべき姿だと私も思う。



旧店舗での書籍の売り上げが減っていくなか、道路拡幅工事の対象となった。

きっと一念発起して、この新店舗を立ち上げたんだろう。

そう思って尋ねたら、

「いや、もう倉庫にしちゃおうかと思ってたんだよね」

と思いもしない言葉が返ってきた。

事務用品を販売するノウハウやシステムもある。特別な投資はいらない。

本の販売はやめて事務用品に特化しようと思ったそうだ。

 

じゃあなぜ、こんな店舗を作ったのか?

他県の様々な倉庫を見て回ったという。一緒に書籍や雑誌で紹介されている本屋も視察した。

「いろいろ見て回ったら、やっぱり本屋をしたい!って欲が出てきちゃったんだよね」

と米永社長は苦笑する。

 

広々した店内とカウンター 

 

取材中も、開放感のある店内で子どもたちが笑う声が聞こえる。

「『ブルーロック』ありますか?」

「『暮らしの手帖』は入ってきましたか?」

次々にお客さんが来て、そのたびに貞嗣社長が対応して、取材は中断する。

だけど、私にとってはうれしい中断だった。

 

もちろん、引き続き事務用品などの販売は続けていて、その倉庫スペースも敢えて見せていることで店内が広々している。小さい公民館くらいあるんじゃないの?という印象だが、旧店舗とそれほど変わることはなく、在庫数はむしろ絞ったそうだ。

事務用品なども同じ店舗内に

 

以前は取次(出版社と書店を繋ぐ問屋のような機能を持った会社)からきたものをそのまま棚に入れていたが、リニューアルにあたって「旅」「暮らし」「介護」「映画」「うつ病」「児童書」 「ノンフィクション」……自分たちで選書してさまざまなテーマに沿った棚を作ったという。

 

「とにかくまずは人に来てもらえる仕掛けを作りたい」

鹿児島ではまだ珍しい「棚貸し」も始めて、イベントも多数行うようになった。

(燦燦舎もできることがあれば是非お手伝いしたい)

 

店売は旧店舗の時よりも大きく増えているそうだ。

何より楽しそうに来る子連れのお客さんと、元気にお仕事されているスタッフのみなさんが気持ちがいい。


棚貸しスペース

 

思わず店頭の最高の場所に展示されていた

かこさとし『かわ』(福音館書店)を買ってしまった。

買ってしまいたくなるディスプレイだから、しょうがない。

「倉庫にしようと思ったけど、やっぱり本屋を続けている」

その事実だけで、こんなにも勇気をもらえるなんて。

米永社長が、絵本を温かい目で見つめていた。

「絵本、好きなんだよね」

やっぱり米永さんも、本屋の親父さんだった。

 

鹿児島の書店の可能性はまだまだある。

大いに感じさせてくれた指宿の米永書店さんでした。

ありがとうございました!!!

 

これからも鹿児島の書店探訪記を時々アップしていきたいです。

温かく見守っていただけたら幸いです。

みなさまも鹿児島の本屋さんをどうぞよろしくお願いします。

 

 

 

米永書店

〒891-0402 鹿児島県指宿市十町2358–1

0993-22-3061

https://www.instagram.com/yonenagasyoten/

もちろん燦燦舎の本も! ありがとうございます!

 

ラーメン食べて帰りました

 

魚見岳に登って帰りました

温泉入って帰りました。指宿よかとこです