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7日間ブックカバーチャレンジ 1日でやってみた④『素人の乱』松元哉・二木信

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素人の乱』松元哉・二木信編、河合書房新社、2008年

 

愛知県トヨタの『自動車絶望工場』でのお勤めを終えて鹿児島に戻り、職安で見つけた南方新社という出版社に就職した。アースデイかごしまなどの環境イベントに携わるようになった。

2008年には九州電力川内原発3号機を増設しようと県庁に申し入れに来るぞ!ということで反原発の会議が開催された。反原発運動の大ベテランの方々が集っていたんだが、やってることはわかるんだけど、なんかノリが違うんよねえ。いっぺん原発反対の署名集めにも参加したが、ゼッケンを渡され着用を命じられる。ゼッケンには透明なビニールのポケットがつけられていて、そこに「川内原発増設反対!」などの紙を入れられるのだ。つまり今日は「原発反対」、来週は「憲法守れ!」とテーマによって文言が変えられるという世紀の発明だけど、とにかくダサいし、横断幕なんかのフォントも怖い。何かとあと、自由を求めて運動してるはずなのに統一させられることが嫌だった。

原発は止めないとあかんが、果たしてどんな運動すればええんやろか、というときに大いに参考になったのが本書である。

高円寺でリサイクルショップを経営しながら「素人の乱」を主宰している松本哉を中心とした運動と騒動の数々が掲載されているが、そのセンスが最高だ。

「自転車を返せデモ」「3人デモ」「家賃下げろデモ」などのデモの数々(「広い部屋でセックスー、させろー」というシュプレヒコールは名作だ)。いよいよ松本は町を解放区(キムタクじゃねえぞ)にすべく杉並区議選挙に出馬。高円寺南口で「ダイブするから受け止めてくれ! それが自治ってことだろ!」とダイブ。意味不明だがマヌケでかっこいい。そのテンションが本書の装丁からレイアウト、見返しの危うさにも充満している。ほぼ全編三段組み、多数の寄稿も収録していて編集者の思い入れを感じるとともに編集作業がまあしんどかったろうと同情もする。

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不穏な見返し。抜かりがなくデザイナーや編者の愛を感じます。

 

わたしもその後、数々の反原発サウンドデモを主催するに至った。

こんな素敵なデモだったら、共感が生まれて多数のみなさまが参加するぜ!と思っていたが、かなり危険人物だと思われていたようだ。あれ? ベテランのおじさんがたといっしょか。

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なんと著者のサイン入り。2008年とあるから、知事選よりだいぶ前。しかしどこ会ったか記憶がない。あの店だろうか?

 

 

2012年に南方新社の向原社長が県知事選に出馬して、なぜか松本哉も応援に来た。下田の南方新社の社屋を見て一番、「百姓一揆のアジトじゃねえか!」と言って大笑いしたことが忘れられない。

 

(燦燦舎 代表 鮫島亮二)

 

 

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