燦燦舎のブログ

燦燦舎(さんさんしゃ)は鹿児島のあたらしい出版社です。 HP→ san-san-sha.com

明日わたしは本屋です

珍しく先週大東京に行ってきたときのレポートも書き出さぬまま、明日も本売り。

珍しく本の準備がこの時間に終わった!のでブログでも書こうと思いたった。

明日3月19日(土)、卸本町はオロシティーで開かれるフォーシーズンズマーケットなるものに出店します。

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とっても洒落たバナー。うちが出ていいのか!?

 

当ブログでも時々書いている通り、燦燦舎は出版業を本業としつつ、時々本屋さんになる。

いくつかの素敵な出版社さんから直接本を仕入れているのだが、一日のイベントで在庫をすべて並べることはほとんどない。イベントのタイトルや場所や主催者や方向性から予想して、来るお客さんはどげんな人やろかい? 若い子が来るのか、子連れが多いのか、子連れでもばあちゃんもいっしょに来るのか、いかめしいおっさんが多いのか、自営の人が多いのか、主婦が大挙として来るのか、あれやこれやと想像しながら本を選び、箱に詰める。だいたいこの時間は大変楽しい作業である。

ほんでもって本の入ったダンボールと机やらイスやら棚やテントを車にうんとこしょと積み込み、会場に運ぶ。これは重いし、たいてい孤独な作業でなかなかしんどい。だいたい現場によって使えるスペースが違うので、店のレイアウトはその場で考えながら本を並べることが多い。どの本をどこに置くか。平積み(文字通り何冊か積み上げる)にするか、面陳(文字通り本を立てて表紙を見せる)にするか、棚ざし(文字通り棚にざすっとさす)にするか、これもかなり楽しい作業だ。

先日は売りてえな、と積んでた内田樹さんの『街場の戦争論』が2日で4冊売れた。こういうときはとってもうれしい。

 

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燦燦舎の看板娘は保育園のため不在です。かわりにわたし(おじさん)とわたしの友だち(おじさん)のダブルおじさんで販売です

 

そしていざ! 販売。であるが、まあ客層がジャストミートするときもあれば、哀れすべてのお客がわたしの前を水族館のマグロのようにびゅんびゅんぐるぐるとスルーするときもある。そんな時は世界中から見放された気持ちになる。

 

ついでに、客層にヒット!といってもまあそんなに本っちゅうのは売れない。これまでいろんなイベントに出ていったが、出店における最強ランク・横綱はたこ焼き、串焼き、ソーセージなどのジャンク系食い物だろう。自分の店以外がこれ系だけだと完全に駆逐されるのが必至。ペンペン草も生えない。

大関はオーガニックなカレーやら野菜、パンなどだろうか。だいたい食い物に本は敵うことはない。

それから雑貨やら古本やらワークショップが続き、単価の高い新刊本を売ってる我々はかなり下位に近い。

 

しばらく前までは、ひたすらお客さんに声をかけ続け売り続け、イベントが終わると灰のようになっていた(まあ売らないと生活できないですから)。じゃっどん最近少しは肩の力が抜けてきたような気もする。

明日はどげんな人が来るのか、どげな店が出るのか。灰になるか世界の中心で孤独を叫ぶかまったくわからないが、楽しみだ。直接お客さんに手渡しで売る。これ商売の原点。道険しだが精進したい。

 

ということで、明日おすすめする本(燦燦舎の本以外)を3冊紹介!

 

『わたしのじてんしゃ』(ますだみり・ひらさわいっぺい)ミシマ社

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本日入荷。ぴかぴかの絵本! これまで『はやくはやくいわないで』『ネコリンピック』など、「置いてるだけで売れる」すごい絵本をつくってきた、ますだみり・ひらさわいっぺいコンビの最新作にして最高傑作なのではないかと思います。うちの5歳の双子もページを開くたびに「わぁ」「わぁ」とうなっていました。

大人だったら、自分も小さいときこんなこと考えてたって思うはず。子どもだったら、ぼくならどんな自転車をつくるだろう?って考えるはず。

表紙のマットの質感や帯のカットがかわいらしくて、なぜかおまけにシールまでついててうれしいです。鹿児島に書店さん数あれど、最速(たぶん)で燦燦舎が販売します! 

 

『へろへろ』(鹿子裕文)ナナロク社

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福岡で宅老所「よりあい」を営む人々を描く本書。よりあいを運営する人たちは必死に金を集めて特別養護老人ホームをつくるのですが、この本の魅力は施設が拡大発展していく成功の物語では決してないのです。

著者はもともとよりあいの雑誌『ヨレヨレ』をつくっていました。ヨレヨレの表紙に並ぶ見出しは「うんこの水平線」「ぐるぐるチンチン」「表紙をめくると火柱が見える!」などなど、同業者としては悔しいくらい、その勢いはほとばしりまくってます。著者の勢いに負けず登場人物がむやみやたらに力強くって、おかしくって、感情がぐいぐいと揺さぶられて、読み終わったらなぜか心があたたかくなってます。こんなに「つかむ」力が強い本はなかなかお目にかかれません。

介護をめぐる問題は無限にありますが、その課題を直接取り上げた本を読むより、本書のように力強い筆圧で書かれた実話を読む方が、よりわたしたちは「自分ごと」と捉えられるのではないでしょうか。

文章の持つ力を信じられる一冊です。

 

 

『海辺を食べる図鑑』向原祥隆南方新社

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燦燦舎代表・鮫島が以前勤めておりました南方新社の社長!向原祥隆さんが書いた本です。海辺で穫って食える海藻や貝、エビカニ136種を紹介。海辺の本なのになぜかウナギやモクズガニ(鹿児島では山太郎ガニ)など川の生き物も載って、さらにお得!

季節はそう、長い冬も終わり春がやってきます。海藻シーズンです。去年はこの本を持ってアオサやらワカメをとったなあ。自分でとるワカメはめちゃくちゃうまい。最強です。アオサは洗うのがちょっとめんどいけど、これまたうまい。向原さんいわく「海藻の皇太子」。さらに

鹿児島県民にとって最大の娯楽「マテガイ取り」まで紹介。ああ、出水に行きてえなあ。

春は貝に海藻。自分の食い物を自分で取る幸せ。この一冊で死ぬまで楽しめます。

 

 

ちゅうことで明日は鹿児島市卸本町6-12オロシティーでお待ちしています!

こら燦燦舎、人の本ばっかり宣伝しやがって、てめえの本はどうしたんだ?というあなた!

燦燦舎の本も、ようやく来月出ます!

詳細はお待ちくださいっっっっっっっっっっ!!!!!!